本「善悪中毒」―葛藤の心理学(テロや戦争の原因)

「善悪中毒」からの抜粋

 以下、善悪中毒からの抜粋です。

巻き込まれる人々

 善悪中毒の犠牲となるのは、善悪中毒者ばかりではない。つまり、善悪中毒にかかっていない人間も、善悪中毒の争いから無縁ではいられない。
 運が悪ければ、…そう思われるだろうか?
 しかしながら、これは、運の問題ではない。善悪中毒者の争いに巻き込まれるのは、むしろ必然なのだ。
 ご説明しよう。
 善悪中毒者にとって、世界は善と悪の二つしかない。そして、悪とは憎むべきもの、戦うべきものだ。
 その悪と戦わない人は、するべきことをしていないこととなる。するべきことをしない人が、善悪中毒者によって悪へと分類されてしまうことは、運ではなく必然だろう。
 つまり、戦いを好まない人は、それゆえに悪へと分類されるのだ。
 以下のようなフレーズは、どなたも聞いたことがおありのはずだ。

 つまり、善悪中毒者は、自分たちの争いの世界へ、常に他者を引きずり込み、巻き込んで行こうとする。可能な限り悪と戦うことが、彼らにとっての善だからだ。
 あなたがもし、他者の争いに巻き込まれたくない、と思われるのなら、どうかご自身だけではなく、他者の善悪中毒をも癒して行くことを真剣にお考えになっていただければと思う。
   ―これは個人ベースの話だけではない。
 あるいは、あなたや・あなたの周囲で暮らす人々は、人の和を尊び、人を愛し、善悪中毒とは無縁かも知れない。
 しかし、地球上ではどうだろう?
 地球上に、善悪中毒者は無数に存在する。しかも、善悪中毒者は、いわゆる発展途上国だけに存在する訳ではない。先進国/軍事大国にも、大勢の善悪中毒者が存在してはいないだろうか?
 善悪中毒が「力が正義」という認識を残し、軍備拡張の原因となるなら、善悪中毒者が多ければ多いほど、軍事大国になる確率は高いはずだ。
 もし、善悪中毒者たちが、どこか遠い地に存在するだけで、自分たちよりも弱ければ、その存在を無視することも可能だ。しかし、その善悪中毒者たちが近くに(地理的近くというだけではなく、経済的・政治的にも)存在し、自分たちよりも強ければ、どうだろう? 
 自分たちよりも、はるかに強い相手に、
「俺たちと一緒に悪と戦わないなら、お前のことも悪とみなして制裁するぞ!」と脅かされたら?
 ちなみに、国ベースの制裁は、核ミサイルに限るものではない。関税引き上げ、在外資産凍結、石油禁輸、経済封鎖、ビザ発行の取り消し、テロ活動支援、要人の失脚・暗殺など、さまざまなものがある。
 どれほど戦いたくなくても、制裁されるのが嫌なら、どちらかの相手(善悪中毒者か、善悪中毒者が悪と思い込んでいる人々か)と戦わざるをえない。
 どうか、この馬鹿馬鹿しさを想像していただきたい。誰かの善悪中毒に起因する錯覚を原因として、何の恨みも無い相手と、血で血を洗い殺し合わなければいけなくなるのだ。
 だから、同じ地球で共生する限り、他者の善悪中毒は、決して他人事ではない。
 善悪中毒を原因とした、こんな馬鹿馬鹿しくも悲しい争いに巻き込まれないためには、国境を越え、民族・宗教を超えて、人々の善悪中毒へ働きかけ・癒していくことが、大変に重要だ。
 むろん、善悪中毒を癒す事は、善悪中毒者にとっての救いでも有る。何回も繰り返した通り、錯覚に依存することは、自分で自分を騙し続けるということだ。自分を騙せば、自分が望む結果を得ることは、決して出来ない。
 幸いなことに、善悪中毒を癒す努力には、武器も弾薬もいらない。政府レベルの助けも不要で、草の根ベース・個人ベースで、行う事が出来る。
 治にいて、乱を忘れず。
 こうした一人一人の癒しの努力こそ、地球上の恒久的な和の確立へ、つながるのではないだろうか。




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