大量破壊兵器

 ひとりの大男が、レストランの禁煙席でチェーンスモークをしているところをご想像いただきたい。
 その大男がタバコをふかしながら、他のお客さんの喫煙の注意を始めたら、周りの人々は、どう思うだろう?
 彼のことをヤクザかなにか、あるいはちょっと変な奴だと思い、大いに警戒することだろう。
 ―他人を注意する前に我が身を直す。これは日本をはじめ、多くの文化圏であまりにも当たり前のことだ。
 そしてそれが出来なければ、(日本では)自分を棚に上げることとなり、大変に恥ずかしいこととして戒められる。
 自分が出来ないことを他人に押し付けないというのは、人間関係の基本であり、ほとんど世界中の文化圏で通用することではないだろうか。

 さて、米国がイラク戦争を始めた大きな理由は、イラクに存在するかもしれない核兵器だった。しかし結果を見ればイラクに核兵器は存在しなかった。
 それはそれとして、米国には1万発@もの核兵器が存在する。そして米国は世界で唯一の原爆使用国であり、現在でも核兵器を使用する意思も能力も持っている。
 世界最大の核兵器保有国が、他国の存在しない核兵器に難癖をつけた訳だ。
 さきほどの例で言えば、禁煙席でチェーンスモークをしている大男が、禁煙を守っている他のお客さんに「お前は喫煙するに違いない」と言いがかりをつけて、殴り殺すようなものかも知れない。

 しかし何とも困ったことに、米国はヤクザではない。米国は決して野蛮人の集合体でもない。それどころか、米国は様々な意味で世界一の先進国だ。  実際、米国は魅力あふれる国に他ならない。
 自動車を発明したのも、飛行機を発明したのも、インターネットを生み出したのも米国だ。野球もハリウッド映画もディズニーランドもジャズも米国生まれだ。ボランティアがステータスシンボルとなる国でもある。


@SIPRI(Stockholm International Peace Research Institute)のWorld Nuclear Forces as of January 2006によれば、米国の核弾頭の貯蔵合計数は、予備を加えて1万発。それに加えて戦略予備のプルトニウムのコア(pits)が5,000個貯蔵されており、さらに34トンの核兵器水準のプルトニウム(7,000個のpitsに相当)を保有している。
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