心が傷ついたとき、痛み自体はすぐに分かりますが、痛みの原因まで自動的に分かるわけではありません。 このシーンでいえば、少年の心の痛みの原因は「不信感を示されたこと」です。そしてその不信感の大元の原因は、悪戯をされた子が持つ、人間を善悪で二分する心の癖と言えるでしょう。 けれど傷ついた少年がそこまで理解することは簡単なことではありません。
胸の痛みをなんとかしたくて、僕は、またあいつにふざけてみた。後ろから髪の毛を一本抜いてみたんだ。今度こそ怒るはず。 |
怒られたらすぐに謝まるんだ。だって僕は友達になりたいだけだもの。 |
〔ふりがな〕 むねのいたみを なんとかしたくて、ぼくは、またあいつに ふざけてみた。うしろから かみのけを いっぽんぬいてみたんだ。こんどこそおこるはず。 たのむから おこって! おこられたら すぐに あやままるんだ。だってぼくは ともだちになりたいだけだもの。 |