原爆への復讐(日本語版序章)

あなたは米国に原爆を落とし、広島・長崎の復讐をしたいですか?

  ―こんな質問をされたら、あなたはどう答えるだろう? 
  恐らくは、99%超の日本人が「とんでもない!」と答えるのではないだろうか。
  日本の人口は1億を超える。しかしながら米国へ原爆を投下しようと、21世紀初頭の今現在、本気で考え計画している日本人は、1億人中きっとただの一人も存在しない。20万人超(1945年度内の犠牲者数@)の原爆犠牲者の遺族も含めて、だ。
  つまり原爆投下をめぐって、日本に憎しみの連鎖は存在しない。

  実際、日本国内に「憎しみの連鎖」は見当たらない。むろん、日本の長い歴史の中には、さまざまな争いや悲劇が存在している。
「仇討ち」という習慣も長く続いた。   しなしながら「憎しみの連鎖」という言葉に当てはまるような歴史上の事例は、浅学な筆者には一つも思いつかない。
  日本には、水に流す/恨みっこなしという文化がある。

  一方で世界を見渡すと、「憎しみの連鎖」を抱える文化圏が存在している。ユダヤ人とクリスチャンの反目は2,000年もの間、続いているようだ。中東の相克も100年を越える。A
  なぜ日本には存在しない憎しみの連鎖があそこ、つまりは一神教の文化圏に存在しているのか? 
  彼我の文化に、憎しみに関連するような何か違いが存在するのだろうか? それとも、これはただの偶然の産物だろうか?


@昭和20年12月末までに亡くなった方の人数の推計は広島で14万人、長崎で7万4千人。それぞれ広島平和記念資料館WEBおよび長崎原爆資料館WEBより
A「中東紛争 その百年の相克」鏡武著P.12よりパレスチナ問題の発端について、以下、引用する;「それは、地中海の東海岸に面した小さなパレスチナの地域に、ある時期、具体的には1900年前後から、ヨーロッパを追われたユダヤ人が、移り住んできたことが事の発端である。」
P.3

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