
心という現実 |
-何、考えてるの?- |
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東郷 潤 |
解説「心という現実」;平和の絵本
この絵本は、想像と現実をテーマとした連作絵本「想像という現実」の第5本目となります。
誰かの心の中という「現実」がテーマです。
さて一般に、人の心の中の出来事を「現実」とは言いません。 ●想像と現実 ●心の世界と現実の世界 ●思考と現実 …このように、「心の中の出来事」は、「現実」とはむしろ対比される概念として扱われます。
しかしながら「人の心の中の出来事は現実ではない」ことをあまりに強調すれば、それは錯覚の原因となるでしょう。 実際、視点を変えるだけで、「心の中の出来事」はそのまま「現実」です。
もし誰かが何かを想像したとします。想像することは自由であり、その内容も自由です。
その想像は、(物理的な)現実に根差し、現実と深く関わりがあるかもしれません。あるいは現実とはほとんど無関係かもしれません。
いずれにしろ一般に、想像(人の心の中の出来事)は、現実(物理的な現実)と分けて考えられます。
しかしながら、「誰かが想像をした」こと自体は、現実に想像したのですから、つまりは現実(心の世界も含めた現実)に他なりません。
そもそも人間行動の動機は、想像に基づくことが大変に多いのです。未来予測を「未来に関する想像」だと考えれば、 未来予測に基づく人間の行動は、全て想像が動機です。 誰かの、自分の目には見えない心を推し量って行動する場合も、それを想像だと考えればやはり想像が動機です。
そしてその想像の内容は、現実と近かったり、現実とかけ離れていたりするのです (本シリーズの2作品目「人違い」を思い出してください。現実とはあまり関係が無い想像を原因として殺人が行なわれました)。
そのためより総合的な現実認識のためには、 物理的な現実を認識するだけではなく、誰が何を何故、想像しているのかという「心も含めた現実」を認識すること(理解しようと努めること)が大変に重要なのです。
それが出来なければ、テロや戦争の原因も、様々な犯罪の原因も、さらには失恋の原因すら、さっぱり理解できない、ということになるでしょう。
*あまり小さなお子様向きのテーマではなく、振り仮名はふっていません。