スマホ用絵本「常住死身」」:生と死の絵本集

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和を地球へ-癒しの絵本で愛と平和を世界へ

贈る癒しの絵本で和を地球へ。世界へ愛と平和を
常住死身
Memento mori
武士の絵(イラスト)です
東郷 潤

〔ふりがな〕
じょうじゅうしにみ    とうごう じゅん
P.1

あるところに、臆病な人がいました。人も怖ければ、闇も怖い。失敗も怖ければ、死ぬことも怖い。何もかもが怖くて仕方がありません。
恐怖に締め付けられているという絵(イラスト)

〔ふりがな〕
あるところに、おくびょうな ひとが いました。ひとも こわければ、やみもこわい。 しっぱいも こわければ、しぬこともこわい。なにもかもが こわくて しかたがありません。
ああ、ど、どうすればいいんだ?
〔筆者注〕
上記主人公は、 「人命は何よりも大切だから」で登場した男の子を意識して描いています。
P.2

彼は自分を守ろうと、武器をたくさん集めてみました。・・・でも、怖さは一向に納まりません。
武装しても恐怖に締め付けられているという絵(イラスト)

〔ふりがな〕
かれは じぶんを まもろうと、ぶきを たくさん あつめてみました。・・・でも、こわさは いっこうに おさまりません。
ああ、こんなんじゃ、だめだ。どうすれば もっと つよくなれるんだ?
〔筆者注〕
このシーンおよび後半部分は、絵本 「怯える人々」を意識しています。
P.3

藁をもつかむ思いで、彼は1冊の本を手にしました。
「葉隠入門」を手にするという絵(イラスト)
それはサムライの本でした。強くなって、少しでも恐怖を減らすための、ヒントが欲しかったのです。

〔ふりがな〕
わらをも つかむおもいで、かれは1さつの ほんを てにしました。
それは さむらいの ほんでした。つよくなって、すこしでも きょうふを へらすための、ひんとが ほしかったのです。
〔注〕「葉隠入門」三島由紀夫著(原文は山本常朝著)カバーデザイン田中一光 光文社。三島氏の割腹自決3年前に出版されたもの。
P.4

そこには思いもよらぬことが書いてありました。
 武士道といふは、死ぬ事と見付けたり。二つ二つの場にて、早く死ぬほうに片付くばかりなり。

 別に仔細なし。胸すわって進むなり。図に当たらぬは犬死などといふ事は、上方風の打ち上りたる武道なるべし。

 二つ二つの場にて、図に当たることのわかることは、及ばざることなり。

 我人、生くる方がすきなり。多分すきの方に理が付くべし。若し図にはづれて生きたらば、腰抜けなり。 この境危ふきなり。図にはづれて死にたらば、犬死気違なり。 恥にはならず。


〔ふりがな〕
そこには おもいも よらぬことが かいてありました。

 ぶしどう というは、しぬことと みつけたり。ふたつふたつのばにて、はやく しぬほうに かたづくばかりなり。 べつに しさいなし。むねすわって すすむなり。ずに あたらぬは いぬじになどということは、かみがたふうの うちあがりたる ぶどう なるべし。 ふたつふたつのばにて、ずに あたることの わかることは、およばざることなり。 われひと、いくるほうが すきなり。たぶん すきのほうに りが つくべし。もし ずに はずれて いきたらば、こしぬけなり。 この さかい あやうきなり。ずに はずれて しにたらば、いぬじに きちがいなり。 はじには ならず。

〔注〕引用は「葉隠入門」 P.178より。
P.5

 これが武道に丈夫なり。 毎朝毎夕、改めては死に改めては死に、常住死身になりて居る時は、武道に自由を得、一生越度無く、家職を仕果すべきなり。
侍の絵(イラスト)
びっくりしました。死ぬことは、悪いことではないのでしょうか? しかもそれが犬死であっても!?

〔ふりがな〕
これがぶどうに じょうぶなり。 まいあさまいゆう、あらためては しに あらためては しに、じょうじゅうしにみになりて いるときは、 ぶどうに じゆうを え、いっしょう おちどなく、かしょくを しはたすべきなり。

びっくりしました。しぬことは、わるいことではないのでしょうか? しかもそれがいぬじにであっても!?

〔注〕以下、葉隠入門の笠原伸夫氏と原本現代訳の松永義弘氏の訳を参考に、筆者が意訳したものです。 ご参考まで。

 武士道は、死ぬことだと見つけた。生死の選択の場で、早く死ぬ方を選ぶというだけのことだ。何も難しいことはない。 腹を据えて進むだけだ。
 思い通りの結果にならなければ犬死などというのは、上方風の思い上がった武士道だ。 生か死かという選択の場で、思い通りの結果が得られるかどうかなど分かるはずもない。 人は、生きる方が好きなもの。きっと好きな方に理屈を付けることだろう。 もし思い通りの結果にならずに生き残ってしまったら、腰抜けとなる。ここの境が危ないのだ。 もし思い通りの結果が得られず死んだならば、それは犬死の気違いとなる。しかしそれは恥ではない。
 この境を知ることで、武士道をしっかりとしたものに出来る。 毎朝毎夕、死の覚悟を新たにし、常に死身になっている時は、武士道で自由の境地を得て、一生あやまちなく、職務をまっとうすることが出来るだろう。

P.5-2

騙されたと思って、本に書いてあった「毎朝毎夕、改めては死に」を試してみました。つまり、自分の死を想像し、それをなんとか受け入れようとしてみたのです。
死ぬところの絵(イラスト)
すぐに恐怖が襲ってきました。
恐怖に襲われるという絵(イラスト)

〔ふりがな〕
だまされたと おもって、ほんに かいてあった「まいあさまいゆう、あらためては しに」をためしてみました。つまり、じぶんの しを そうぞうし、それをなんとか うけいれようとしてみたのです。
すぐに きょうふが おそってきました。
ああ、こわい!
P.6

しばらく何も考えずに震えていると、少し落ち着きました。  ・・・そこで再び自分の死を想像しました。 色々なパターンの死を出来るだけリアルに、です。
登山で死ぬ絵(イラスト)

〔ふりがな〕
しばらく なにも かんがえずに ふるえていると、すこし おちつきました。  ・・・そこで ふたたび じぶんの しを そうぞうしました。  いろいろな ぱたーんの しを できるだけ りあるに、です。
P.7

溺れて死ぬ絵(イラスト)

〔ふりがな〕
ああ、こわい!
P.7-2

喧嘩で死ぬ絵(イラスト)
P.8

首吊りで死ぬ絵(イラスト)

〔ふりがな〕
ああ、こわい!
P.8-2

もしこのまま恐怖のあまり狂い死にするなら、それでも構わないと思ったのです。いつまでも怯えて過ごすことには、もう、うんざりでした。
様々な死を想像し、怖がっている絵(イラスト)

〔ふりがな〕
もしこのまま きょうふの あまり くるいじにするなら、それでも かまわないと おもったのです。 いつまでも おびえて すごすことには、もう、うんざりでした。
〔筆者注〕
1)心が納得するのには、時間が掛かるものです。このエクササイズに限らず一般に心のエクササイズは、少しずつ自分のペースで時間を掛けて行なうことをお勧めします。 なお折に触れ、鏡を覗き込み自分の目を見ることは、自分の状態を客観視出来るので、正気を保つために大変有効な方法です。
2)絵本「人命は何よりも大切だから」でも同じ死の想像をしていますが、その目的が異なれば、結果は全く異なるでしょう。
P.9

どれぐらい時間がたったでしょう?
虚脱状態の絵(イラスト)
・・・まだ発狂してはいないようです。
掃除の絵(イラスト)
・・・ふと、気づきました。自分が死をすでに受け入れていることを。

〔ふりがな〕
どれぐらい じかんが たったでしょう?  ・・・まだ はっきょうしてはいないようです。
しぬまえに、へやの そうじでも しておくか。
・・・ふと、きづきました。じぶんが しを すでに うけいれていることを。
P.10

恐怖を押し戻す絵(イラスト)

〔ふりがな〕
いきている にんげんは ぜんいん、しぬ。 それって あたりまえのこと。
なにかに ちょうせんして しっぱいしても、 さいあく しぬだけ。 どうっていうことはない。
いぬじにかどうかは、いきている にんげんが はんだんすること。ししゃには そんなの、かんけいない。
P.11

恐怖の万力が壊れる絵(イラスト)

〔ふりがな〕
どんなに つらい げんじつも しねば おわる。 こわがることは ない。
ぼくは しぬ。 それまで せいいっぱい、たのしむか。
おれ、なんだか じゆうだ・・・
P.12

急に、真っ暗な夜道を散歩したくなりました。とても怖かった闇の中で、自分が冷静でいられるかどうか、試してみたくなったのです。
部屋を出る絵(イラスト)
彼はたくさんあった武器を家に残し、家を出ました。

〔ふりがな〕
きゅうに、まっくらな よみちを さんぽしたくなりました。とても こわかった やみのなかで、じぶんが れいせいで いられるかどうか、ためしてみたくなったのです。
かれは たくさんあった ぶきを いえに のこし、いえをでました。
〔注〕 絵本「怯える人々」をご参照ください。
P.13

闇の中を歩き始めました。
お化けのような白いものが襲ってくる絵(イラスト)
あ、白いものが飛び出しました。お化けでしょうか。殺されるかも!
・・・ま、殺されても死ぬだけですけど。
夜道での挨拶の絵(イラスト)
白い影は、人間でした。

〔ふりがな〕
やみの なかを あるきはじめました。
あ、しろいものが とびだしました。おばけでしょうか。ころされるかも!  ・・・ま、ころされても しぬだけですけど。
こんばんは
あ、こんばんは
しろいかげは、にんげんでした。
P.14

再び、闇の中を歩き始めました。
怪物のような白いものが襲ってくる絵(イラスト)
再び、白いものが飛び出しました。怪物でしょうか!?
夜道で挨拶する絵(イラスト)
白いものは、人間でした。

〔ふりがな〕
ふたたび、やみの なかを あるきはじめました。
ふたたび、しろいものが とびだしました。かいぶつでしょうか!?
よみち、おきをつけて
あ、ありがとうございます
しろいものは、にんげんでした。
P.15

夜が明けてきました。
夜明けの絵(イラスト)

〔ふりがな〕
よが あけてきました。
P.16

あとがき -絵本「常住死身」

 もし、あなたがこの絵本に共感されたなら、他の方にも読ませてあげていただければと思います。

 本絵本は、自由にコピーして下さって結構です(商業出版はじめ金銭的な授受を伴う場合を除きます)。 また下記WEBからは、東郷潤の他の絵本やメッセージをダウンロードすることが出来ます。

 www.j15.org

©Jun Togo 2012
P.17




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