| ある星の飲酒運転 |
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| 東郷 潤 |
P.1
| 広い宇宙のある星で、ドラッグキノコ酒がはやっています。 |
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| そのキノコ酒自体は違法ではないのですが、飲むと酔っ払ってしまうので、車の事故が多いのです。 |
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P.2
| 法律はキノコ酒を飲んで酔っ払ったときの運転を禁止していますが、飲酒運転はさっぱり減りません。 さあ、どうしましょう？ |
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| 政府は困ってしまい、飲酒運転対策を国民投票で決めることにしました。 飲酒運転に関する、国民投票の選択肢は２つです。 ・・・あなたなら、どっちを選びますか？ |
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●飲酒運転を厳罰化する→P.4へ ●飲酒運転を無くす努力がするが、厳罰化はしない→P.14へ |
P.3
| P.3から→ |
| 投票の結果、飲酒運転の厳罰化が決まりました。 |
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| その星の人々は正義を愛し悪を憎んでいたので、飲酒運転の罰を、う～んと厳しくすることにしたのです。 |
P.4
| 厳罰化したらすぐに飲酒運転は激減しました。むろん、事故の数も減ったのです。 |
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| みんな、大喜びです！ |
P.5
| あれ？ 気のせいでしょうか？ いつのまにか検問を突破する車が増えたみたいです。 |
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P.6
| 自殺する人も少しずつ、増えているみたいです。 |
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P.7
| 轢（ひ）き逃げも、少しずつ増えています。 |
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P.8
| 失業者も少しずつ増えています。 |
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P.9
| いつのまにか泥棒も増えています。 |
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P.10
| なんだか無差別殺人も増えているみたいです。 |
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P.11
| 飲酒運転も、厳罰化の直後、減りはしましたが、それ以上、減ることは有りません。 |
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| どうすれば悪い奴らを一掃できるのでしょう？ 少しでも悪いことをしたら鞭打ちにしようか、腕を切り落とそうか、それとも、死刑にしようか？ …そんな議論が始まりました。 |
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P.12
| この星の刑務所は、毎年少しずつ、拡張されています。 |
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P.13
| P.3から→ |
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投票の結果、厳罰化しないことが決まりました。罰とは、人が人を攻撃することです。
この星の人々は、罰に頼ることは出来るだけ避けたいと思ったのです。
…でも飲酒運転は減らしたい。そこで、人々は様々な工夫をしました。 |
| ●たとえば、酔っ払いシミュレーションです。 |
| 実際にドラッグで酔っ払った状態で、飲酒運転時の反応速度・判断力の低下を実感してもらいます。 |
P.14
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| それを、運転免許を取る人全員に、やってもらいました。 |
P.15
| ●たとえば、飲酒運転の事故の悲惨さをきちんと見てもらうことです。 |
| 免許証の更新時には、イラストや絵などではなく、悲惨な事故の写真や映像そのものを見なければいけません。 …それはぞっとするようなものでした。映像を見た人の中には、泣き出す人もいたのです。 |
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P.16
| ●たとえば、飲酒運転の事故の悲惨さを、体験してもらうことです。 | |
| 飲酒運転で捕まった人達も、牢屋に入れられ、失業し、人生を破壊されることはありません。 その代わり、事故で怪我をした人達のリハビリやお世話をしなければいけません。 | |
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怪我をした人の辛さを目の当たりにした、 ほとんどの違反者たちは、それから二度と飲酒運転をすることは無かったのです。 |
P.17
| ●たとえば、飲酒運転が出来ない車の開発です。 |
| 一定以上のドラッグを感知すると、運転できない車も作られました。 |
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| もちろん、この装置の取り付けにはお金が掛かります。 でも、厳罰化で、牢屋や死刑台や警察官を増やすのにも、お金は掛かるのです。 |
P.18
| ところで、この装置は、とても工夫して作られていました。 ドラッグを感知しても、運転に支障がないと判断される一定値以下なら運転が出来るのです。 | |
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P.19
| 非常ボタンを押すと飲酒運転すら出来るのです。 |
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| その場合は、警察に自動的に通知されて、警察が応援に来てくれます。 |
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P.20
| 他にもドラッグキノコ酒の飲酒運転を無くすために、様々な工夫が行なわれました。 |
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| こうして、ずいぶんと時間もお金も掛かりましたが、飲酒運転は着実に減って行きました。 |
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P.21
| 今日もこの星の刑務所は暇そうです。 |
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P.22
| あとがき-ある星の飲酒運転 |
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もし、あなたがこの絵本に共感されたなら、出来るだけ多くの方に、読ませてあげていただければと思います。
本絵本は、自由にコピーして下さって結構です（商業出版はじめ金銭的な授受を伴う場合を除きます）。
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www.j15.org |
| ©Jun Togo 2009 |
P.23
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